AliceU
□恋心はその後に
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「名無しさんちゃん、付き合ってって言ってるじゃん」
『だから無理です、ごめんなさい』
「いやいや、無理じゃないって!」
さっきからこれの繰り返し。告白してきた人は同じ中等部だけど全く話したことがない、名前も知らない男の子。
まず最初にどこを好きになったのか、と尋ねたところ、顔だと即答された。それを聞いた瞬間、この人は無理だと確信。
というより私は生まれてこの方、好きな人というものが出来たことがない。だからいまいちピンとこない。
『本当に無理です』
「よく考えてよー!」
初恋がこんな人になる嫌だとよく考えた結果です、はい。そもそも顔で好きになった人によく考えてなんて言われたくない。
逃げようかと考えていると、手首をぐっと掴まれた。見るとやっぱり名前も知らない告白してきた人だった。逃げないでね、なんて目をしている。絶体絶命…なんて大袈裟だけど逃げる術が思いつかない。
「ねぇ、名無しさんちゃん。考えは変わった?」
さらにぐっと力を入れられる手首に鈍い痛みが走る。中等部にもなるとこんなに力の差が出てくるのか。もう逃げられないかもしれない。
「あれ、名無しさん、何してんの?」
諦めかけたその時、まるで漫画のヒーローのように彼はそこに現れた。
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