『棗、誕生日おめでとう!』
「サンキュ…」
11月27日、今日は棗の誕生日。棗の彼女である私は本人以上に大イベントなわけだ。今日はお昼頃から小さな箱を持って彼の部屋に訪れた。
『それでプレゼントにケーキを作ってみました!』
オープン!という掛け声と共にテーブルに置いてある箱の蓋を開けた。その箱の中に入っていたのは私の手作りの1ホールのケーキ。…うん、見た目は崩れていないな。
難しいのに挑戦してみようかと考えたりもしたけれど、誕生日プレゼントにもならない出来になったら怖いのでやめた。その結果、無難に苺のショートケーキ。
「これ、…本当に名無しさんが作ったのかよ?」
棗はじーっと目の前にあるケーキを見つめてから、私に疑いの目をやった。
『そうだよ!今朝早く起きて作ったの。食べてみて?』
ナイフで6等分くらいに切り分けて一切れを棗のお皿に置いて、彼の目の前にフォークも忘れずに差し出した。
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