AliceU
□君は太陽
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『ルカってさ、地味にモテるよね』
「どうしたの、いきなり。しかも何か怒ってるし」
別に怒っているわけじゃない。ただそんなことを思いついて不機嫌になっているだけ。あ、人はそれを怒っていると思うのか。私だって男勝りな自分の性格に困っている。
『この前のバレンタインだってチョコいっぱいもらってたじゃん』
「名無しさんがいるからって断ったよ」
『そうだけど…』
あーあ、結局私は何が言いたいんだろう。不安なの、って可愛く伝えられたらいいのに。そんな言葉が出てこないんだ、この口から。
「不安なの?」
…私、今声に出してなかったよね?実は出てましたとかそういうアホなパターンじゃないよね?
『何でそう思ったの?』
まさか、言ってたから、なんて答えは返ってこないと信じたい。もしそうだったら恥ずかしい。
しかしルカの返事は私の想像とは違っていた。
「だって名無しさん、そんな顔してるから」
口下手な私にとって何より嬉しいことで。表情でわかってくれるなんてルカぐらい。さすが彼氏だなって思う。どの言葉も喉に詰まって声に出てこない。
「俺は名無しさんしか見てないよ」
ふわりとルカが笑った。その表情は女の私より遥かに可愛くて。でも嬉しくて柄にもなく涙が出た。
君は太陽
(その光で全てを見透かして)
(モヤモヤを晴らす)
-END-
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