人殺し、と後ろ指を差されても気にならなくなってしまった。慣れって怖いなと改めて実感。その考えは危力にいる限り、逃れられないと理解したからかもしれない。
そんなとき、彼が私の前に現れた。
『…黒猫さん、だっけ?』
「棗だ」
ああ、そうそう。そんな名前だったよね。なかなか人の名前って覚えられない。だって必要ないもの。
『どうしたの?任務の話?」
「お前、もう任務やめろ」
は…、何言ってんだ、こいつ。何で私があんたに指図されなきゃいけないの?何を知ってるんだ。
『理由は?」
「向いてない」
『ペルソナに向いてるって言われたことあるけど』
嘘つくならもっと上手くなろうよ。何を隠してるか知らないけどさ。
「名無しさんが好きだから」
…え、何今の。聞き間違い?うん、そうだよね。そうに決まってる。そうじゃなかったらただの妄想?
『てめぇも女なら少しは守られろ』
やっぱり聞き間違いでも妄想でもなかったみたい。
不意に降りかかってきた黒猫さんの言葉に少しキュンときたのは、恥ずかしいから秘密。
預けてあげる。
(私の背中を)
(よろしくね、棗)
-END-
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