あらら、また囲まれた。細心の注意を払ってたはずなんだけどな。まだまだ足らなかったらしい。
「もういい加減、棗くんと別れて!」
女の子たちに囲まれると決まってそう言われる。またその話しなの。何とかのひとつ覚えってやつだよね。
『だから、何度も言ってるでしょ。いつになっても私の意見は変わらない』
女の子たちは言葉に詰まった。何度もこんなことを繰り返し。毎回毎回同じことを言う身にもなってほしい。
「でも私は本当に棗くんが好きなの!」
はあ…、棗のこと何にも分かってないなあ。もちろん私の立場のことも。
『…あんたに棗を支えられるわけ?何にも分かってないくせに』
「何を言ってるの?」
ほら、何も知らないじゃない。君なんかに私の場所は奪えないし、渡せない。
『あなたじゃ棗の隣は無理』
「何なのよ!バカにして!」
目の前の女の子がバッと手を上げた。これは流石にピンチかも…。
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