AliceU

□真夜中の訪問
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『棗、ぎゅってして』



迷惑だと知りながらも夜中に棗の部屋に押しかけた。押しかけたと言っても隣の部屋。





私の急な発言に棗は驚いていたが、何も言わずにすぐに抱きしめてくれた。頭をゆっくり撫でられると身体中の力が抜ける。






「何かあったのか?」



『棗に振られる夢、見ちゃった…』




そんな夢にただ不安になっただけ。でも抱きしめられた温もりで不安は徐々に溶かされていく。




「正夢になるわけねぇだろ」


『分からないじゃない…』




私がそう返すと、棗がムッとしてデコピンをした。う、地味に痛い。






「ありえねぇ。これから先、一生だ」



ギュッと抱きしめ直してくれる。
でも、棗知ってる?




『…一生って長いんだよ?』


「わかってる。少しは信用しろ」




だってあんな夢見ちゃったんだもん、なんて考える私は捻くれているのかも。でも彼の腕の中でこんな甘い言葉を囁かれてるんだから、我ながらすごい愛されてるんだと思う。





『棗、大好き!』


「…当たり前だろ」



棗がフンと鼻を鳴らす。多分照れてると思う。





『安心したら眠たくなっちゃった…』


「じゃあ寝るか」




棗に誘われてベッドの中に入る。布団を掛けると全身が棗の匂いに包まれる。彼の腕枕に彼の匂い。これ以上の安堵感はきっとない。




『おやすみなさい…』



薄れゆく視界で棗にそう言って私は眠りについた。






真夜中の訪問
(本当に寝たのかよ)
(我慢してるよな、俺)





-END-






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