『ねぇ、星を見に行こうよ!』
君の言葉はいつだって前振りがなくて突然。今だって消灯時間を過ぎたのに、どうやって俺の部屋に来たんだろう。
「どこに行きたいの?」
『屋上!』
キラキラと星のように瞳を輝かせている君に勝つ術はなく、俺は鳥を呼んだ。つくづく甘いと思う、名無しさんに。
屋上について天を仰ぐと、そこは満点の星たちが瞬いていた。息を飲むほどの美しさ。
『綺麗だねー』
はー、と白い息を吐きながら名無しさんが言った。その表情はどこか不安そうだと感じた。
基本的に俺は名無しさんの言動がたまに分からなくなる。今だってそうだ。なぜいきなり星を見たくなったのか、何が不安なのか、よく分からない。
「名無しさん、大好きだよ」
だけど、俺の言動で君の不安が溶けて笑顔になるなら、何でもするよ。名無しさんがいつまでも星のように光っていれるのなら、俺はそれでいい。
瞬き
(君は俺の全てだから)
(不安なら溶かしてあげる)
-END-
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