AliceU
□if…
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「もし、私も棗もアリスを持っていなかったら外の世界でも出会えていたと思う?」
夜、一緒の布団に入って眠りにつきそうなとき、私は急に棗に聞いてみた。棗は閉じていた目を開いた。
「急にどうした?」
「よく考えたら2人ともアリスを持ってるってすごい確率だよね」
だから運命かなって。棗はバカじゃねぇの、と鼻で笑うかと思ったのにそうかもな、とふっと微笑んで私の頭を撫でた。その顔は彼女の私でさえ稀に見る表情。
「もし俺にもお前にも力がなかったとしても、必ず出会っていた」
「言い切るんだね」
聞いといてあれだけど真剣に答えた棗が何だか面白くてクスクスと笑う。何で言い切れるんだろう。
「それが運命だろ」
「棗ってそういうの信じるんだっけ?」
「信じていなかったけど名無しさんに会えてからそう思う」
つくづく私は彼にすごくすごく愛されている。もし私たちがどんな世界で生まれても出会うことができたはず。
「棗、ずっとずっと大好きだよ」
「俺は名無しさんのこと愛してる」
ジワリと胸に広がる棗の温かい言葉。胸をぎゅーっと掴まれて離してくれない。いいや、離して欲しくない。それが伝わったのか今度は抱き寄せられて身体全部が彼の腕の中。顎を掴まれてゆっくり上げれば甘くキスが舞い降りてくる。幸せすぎて一筋の涙が出てくる。私はきっとこの人に出会うためにアリスを持って生まれてきたんだ。
if…
(もし生まれ変わっても同じ)
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