AliceU
□滑稽だね
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私だって何も分からないほどのバカじゃない。特に彼のことだから気付いてしまったんだ。初めて見たとき、明るくて純粋で闇を知らなくて、まるで太陽みたいな蜜柑に棗は惹かれたんだ思う。それは棗と同じ闇にいる私だって蜜柑に惹かれたから。それと同時にこの子には勝てないって直感した。
別に好きだとか嫌いだとか伝えた覚えもなければ伝えられた覚えもない。一緒にいたいからいるだけの関係。それじゃだめなんだってどこかで思っていたけど、神様は嫌なきっかけを与えてくれたみたい。これは賭け。しかも何の勝算もない大博打。
「棗、あの蜜柑って子を好きになったでしょ?」
多くの人は私のことをバカだと指を差して笑うだろうか。棗の性格上、Yesと返ってくるわけがない。だけど何も言わないから肯定と受け取ります。そろそろ潮時だと神様からのお告げかもしれない。だけど簡単には引き下がれないの。私だって…なんてこれは伝えないけど。
「棗」
改めてそう呼んで振り向いた彼の胸倉を掴んでグイッと引き寄せる。女の子のやることじゃないって分かってるけど彼を手放すことになるんだからどうだっていい。目の前に来た彼の唇に噛み付くように唇を合わせる。これがファーストキスなんだなってぼんやり思いながら。棗にとってもファーストキスなら一生彼の心に残るだろうか。そうだったらいいな。唇が離れたらもう終わり。
滑稽だね
(結局自分との賭けに負けた)
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