スターダスト
□ただ強情なだけ
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北の森から教室に戻る途中にペルソナと出会ってしまった。というより、待ち伏せをされていた。
「任務か?」
棗はペルソナに聞くが、多分違う。用があるのは私にだと思う。
「お前に用があるのではない。名無しさんの方だ」
ほら、やっぱり。また初校長から呼び出し。瞬間移動は私が自分の部屋に1人でいる時しか作動しない仕組みだから、他の場合はペルソナが呼びに来る。
「何で名無しさんだけなんだよ」
『いいの、棗。大丈夫だから』
何が大丈夫なんだ、って自分に言いたくなった。慣れているからって理由なんだろうか。それとも自分に言い聞かせているだけだったりして。
『行こう、ペルソナ』
これ以上、棗に聞かれても何も言えなくなってしまうので、私は逃げるように、ペルソナが持ってきた瞬間移動のアリスストーンで逃げた。
棗から逃げるように移動した先はやっぱり初校長の部屋。
「来たか、名無しさん」
『何のご用ですか?初校長』
今日は大きな椅子ではなく、大きなソファーに座っていた。見た目は同い年ぐらいだけど、優雅にカップに口を付けている姿がよく似合う。
「まあ、座れ」
初校長は自分の隣をポンポンと叩いて私を招いた。その隣に私は大人しく座る。
「名無しさん…」
いつもと違い、甘い声で初校長に名前を呼ばれた。そして横から抱き締められている。全てが突然すぎて、どうしたらいいのか分からない。
「名無しさんには大切な人がいるか?」
『います。棗にルカ、蜜柑も蛍も。私に関わってる人全てです』
全員大切な人たち。入る前に身寄りがなかった私にとってこの学園は家であり、みんなは家族である。
『それがどうかしたんですか?』
「そいつらを守る方法、知っているか?」
その言葉と同時に初校長は怪しく微笑んで、私を押した。広がる視界には高い天井と初校長の顔。背中にはフカフカのソファー。
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