スターダスト
□私が沈んで世界が浮上
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私はあの夜、棗の部屋で覚悟を決めた。私を好きだと言ってくれた彼を守りたいから。今度は私の番だから。
「名無しさん、初校長から呼び出しだ」
『わかった』
私は全てを捨てる覚悟を決めてペルソナの後をついていく。これからもっと深い闇に堕ちる。
「その顔はどうやら決断したようだな」
『おかげさまで』
部屋に入った瞬間、彼は全てを見透かしていたかのように笑う。こんなことにはもう驚いたりしないけど。
「さて、答えを聞かせてもらおうか」
大きな机に頬杖をついて口角を上げている。まるで全てを知っているよう。相変わらず嫌な感じ。でも、もう後戻りは出来ない。
『この部屋で貴方と一緒にいます。だから、危力のみんなに任務をやらせないで…』
迷いは消えている。これで危力のみんなが、棗が幸せになるんだもん。大丈夫、覚悟は出来てる。
「いい答えだな」
『ただ条件があります』
「なんだ、言ってみろ」
『万が一、私が命を落とした場合やアリスを失った場合もその約束は続くこと。それともし貴方が約束を破った時は、ここから出すこと』
それだけか?と初校長は小さく笑ったが、私にとっては大切なことなのだ。だって彼はきっと嘘を吐く、そんな予感がする。
「まあ、いいだろう」
初校長が立ち上がって、徐々に私に近寄る。もう後退りなんてしない。そしてついに私を捕まえた。腰にがっしりと手を回されて、もう逃げられないんだ、と実感する。多分これから先、ずっと。
誓いの意味なのか、初めて私の唇に口付けをした。
私が沈んで世界が浮上
(落ちるのは私ひとり)
-continue-
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