スターダスト

□足りない頭で考えてみろ
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ある日の朝、初校長が動き出した。早々とベッドから起き、洋服を整えている。





『お出掛け、ですか?』


「ちょっとな。野暮用ってやつだ」



夜には帰ってくるからな、と唇にキスを落としてきた。別に帰ってこなくていいのに、って思ったのは秘密。







初校長がいないからってこれと言って変わることは特にない。部屋から出ることが出来ないのは同じ。そんな時、考えているのは棗やみんなのことばかり。






『会いたいなあ…』



そんな虚しい独り言は静けさの中に消えた。いい加減もう慣れたけどね。それでもいつになったら、自由になれるんだろうか。この質問は誰に聞けば教えてくれるんだろうか。その前に誰にも聞けないか。






その日は初校長が帰ってくるまで、そんなことをずっと考えていた。だから気がつかなかったんだ。帰ってからの初校長の変化に。






そしてこの日境に初校長の出掛ける回数が増え始めた。この行動にどんな意味があるのか、私は特に気に留めていなかった。ああ、何て私はバカなんだろう。









足りない頭で考えてみろ
(止められたのは私だけなのに)





-continue-




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