スターダスト

□なんの躊躇いも無いのね、
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初校長からの任務は数日後にペルソナから伝えられた。それは俺1人で行うものだった。俺が任務を行うことは他の奴らは知らない。






任務中、幾度も自分に問いた。名無しさんを守るためのこの行為は合っているのかと。いくら考えても答えは出なかったが。




初校長が名無しさんを返すとはあまり思えない。それなのに受けた俺はバカなのだろうか。それでも名無しさんの姿を見つけ出せる方法がこれだけなら受けるしかなかった。








任務を終えて学園に戻っても、名無しさんからの治療は受けられずに、久しぶりに部屋までの道のりを1人で歩いた。



名無しさんがいなくても景色は何一つ変わらないはずなのに、全てが色褪せて見える。それは彼女がいなくなってからずっとだ。







「力を使いすぎたか….」



しばらく任務がなかったから平気だったが、力を使うとこのポンコツの身体は咳が止まらない。口を押さえていた右手を見れば血痕。俺は首に掛かっている癒しのアリスストーンを握り締めた。名無しさんの治癒のアリスとまではいかないが、いくらか楽になる。






「…名無しさんを取り戻すまでは耐えろよ」




守りたいんだ、どうしても。もし名無しさんを守れないなら、同じ闇まで一緒に堕ちてやる。とりあえず、手の届く範囲に君がいなければ守れない。俺は血痕がついている自分の右手を見てからグッと握り締めた。…大丈夫だ。必ず何かが変わるはず。








なんの躊躇いも無いのね、
(君はそう言うだろうか)






-continue-





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