スターダスト
□硝子とビー玉
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今日も起きたら初校長はすでに出掛けていた。少し前までは私が起きるまで待っていたが、最近では起きたらいないことが多い。そんなに遅く起きているつもりはないんだけどな。
今日も特に何もしないまま、ボーッと時間が流れる。あまり好きじゃなかった勉強でさえやりたくやるのは人間の性だろうか。
この部屋で出来ることは限られているが、最近の趣味はアリスストーンを作ること。作っても取っておく場所がないからすぐに身体の中に戻しちゃうけど。
実際の授業で習ったことはないが、ずっと前に特力の殿先輩に見せてもらったのを思い出して、見よう見まね。そしたら意外と出来るクチらしい。
『はぁー、出来た…』
色は白に近いピンク色。形は多分小さくはないと思う。比べる相手がいないのが残念だが。
『棗もアリスストーン作れるのかな…』
自分の作ったアリスストーンを見ながら考えてみたけど、そりゃ出来るよね、とひとりで納得。星階級がスペシャルだもん。私も一応スペシャルのバッチがついているけどこんなの実力じゃない。私は堕天使で初校長の所謂お気に入りだから。
『棗のアリスストーンは何色かなぁ』
多分赤かなー。彼の瞳のような綺麗な真っ赤だといいな。うん、赤が棗っぽい。ということで勝手に赤に決定。
『蜜柑はみかん色だったら面白いな。蛍はきっと紫。ルカはクリーム色かな』
他の人の顔と雰囲気を思い出しながら、その人に合いそうな色を思い浮かべる。ちゃんと覚えてる。まるで昨日まで会っていたかのように。
うん、我ながらあながち外れていないと思う。確認は出来ないけど。みんなのアリスストーンを見れる日はきっとこないから。
また自分のアリスストーンに目を落とした。何回も作っている内に綺麗に出来た。今回は特別に上出来。
『残しとこうかな…』
私は部屋の中を歩き回った結果、肌身離さず持っておくことにした。この場所に隠しておける場所はなかったから。
硝子とビー玉
(小さい子が宝物を隠すように)
-continue-
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