スターダスト
□空を仰いで君の偉大さを知る
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ペルソナを通じて初校長から出される任務内容はどんどん数も危険も増していった。以前では単独でやらないような任務も今は俺1人だけ。
そして数が増すことに比例して、俺の体調は悪化していく。まるでバカみたいな悪循環だ。
「棗、最近よくいないけど何をしているの?」
教室に行かない俺を心配してルカが夜に部屋に来た。こうしてみればルカに会うことさえ、久しぶりかもしれない。
「…何してんだろうな、俺」
初校長の言葉を真に受けて命を削ってまで闘って。そんなことをしても名無しさんが戻ってくるかも分からずに。
「棗がそこまで頑張ってるなら、きっと名無しさんのためなんでしょ?」
何も知らないはずのルカが名無しさんの名前を出した。それは切ない笑みを浮かべながら。
「名無しさんのことを探しているの?」
「見つけ出した。あとは取り戻す」
「取り戻す?誰から?」
思わず初校長、と出そうだった言葉を飲み込む。駄目だろ、ルカを巻き込めない。俺は唇をグッと噛み締めた。
「言えないならいいよ。でも何か聞いてほしかったら俺に話して」
俺は本当にルカの言葉と優しさに救われていると思う。ルカだったら初校長に名無しさんを取られたりしなかったんだろうな、ってすげぇ思う。眩しすぎるほどの真っ直ぐさをルカは持っているから。
「大丈夫。きっと名無しさんは戻ってくるよ。2人は思い合っているんだから」
ルカが優しい笑顔を浮かべながら言った言葉は今の俺に必要な言葉だった。…って、あれ?
「俺、ルカに話したか?」
「棗が名無しさんのことを好きなのは分かってた。それと名無しさんも棗のことよく見てるし」
当たった?とルカがクスクスと笑った。ああ、俺はきっといつになってもルカには勝てないだろう。
空を仰いで君の偉大さを知る
(それで少し救われた気がした)
-continue-
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