スターダスト
□緊急救助命令
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深い傷を負って動けないところを敵に捕まって終わりかと思った。もう一度目が覚めるなんて考えていなかったし、ましてや目が覚めてこんな場所にいるなんて…。
「おい、大丈夫か!」
ちゃんと声が聞こえる。何でだ、って思ったけど俺が生きている何よりの証拠だ。でも何故生きているんだろう。
「棗、目覚めたか!」
それは殿の声だった。微かに目を開ければ、ここは病院の集中治療室らしい。その周りには今井の兄もいる。
…そうか、助かったんだ。それで今、癒しのアリスを増幅させて治療中ってとこか。でもどうしてだ。何で助かったんだ。考えるより先に目に付いたのは殿たちから見えない奥の方にいるペルソナ。まさかペルソナが俺を助け出し、病院に連れて来たのか?
「う…っ」
まるで考えを阻止するかのように刺された腹部に強烈な痛みがきた。それと同時に聞こえるピピピ、といった独特の機械音と周りが慌てる声。
「しっかりしろ、棗!」
殿が叫んでいて、うるせぇ。そんなに大声を出さなくて聞こえているんだよ。再び薄れゆく意識の中で "危険な状態だ!"と今井の兄が言っている声が聞こえて俺は意識を手放した。
「くそっ、どうにかして助けられねぇのかよ!」
「病院の医療器具より俺のアリスより、雨宮の治癒のアリスの方が効果的なんだが…」
「だけどその肝心の名無しさんは現在行方不明だ…」
名無しさんはどこにいるんだよ!と殿が悔し気に拳を握った。ほかに何かいい方法は…っと周りを見渡すと殿が奥の方にいるペルソナを見つけた。
「おい、ペルソナ…っ!」
殿のその声は虚しく、ペルソナはその場から姿を消した。
緊急救助命令
(棗を助けるのは、誰?)
-continue-
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