スターダスト

□チカラを失った少女
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『…やっぱり出ない』



この間から何度も何度もやってみたが、やっぱりアリスが出てこない。殿先輩の力を借りても出てこない。





「やっぱりアリスの形か」



棗が小さく呟いた。それは私を含めてここにいる誰もが思っていたこと。




"一挙にドカッとアリスを使うことができるが、その分アリスの寿命を早めてしまうタイプ"





以前、そんなことを誰かに聞いた。その時はまるで他人事のように聞いていたけど、まさか自分がそのタイプだったなんて。
アリスがなくなったら普通の人間。そして普通の人はアリス学園にいられない。つまりここを出てみんなと離れなければならない。






『私、学園から出ていかないといけないんだよね…』



それが約束だもんね……約束?何かあったような。思い出して、と必死に頭を働かせる。そしてひとつの希望に辿り着いた。






『みんな、私のことを信じてくれる?』


「信じるに決まってるやんか!」



いきなりどうしたん?と蜜柑が続けた。みんなも不思議そうな顔を浮かべる。






よかった、思い出して。これで学園から去ってもみんなを助けていける。





『私に考えがあるの。だからみんな、私を信じて』



私は考えたことを話し出す。途中でルカがそれって上手くいくかな、と呟いた。多分みんなが同じことを思っているはず。
これが上手くいくかは分からない。だけどやるだけやりたい。もしかしたらスタート地点に戻るかもしれないけど、上手くいけばいい結果が待っている。





「…俺は名無しさんが望むならそれに乗ってやる。万が一、成功しなくても今度は助け出す」


『棗…』


「棗が乗るなら俺らが断わるわけにはいかねぇよな」



殿先輩がわたしの頭をぐしゃぐしゃに撫で回す。ぐちゃぐちゃになる私の髪の毛。不機嫌そうな棗に燃やされかけている殿先輩。それを笑っているみんな。これがきらきら輝いている普通の日常。守るべき日常。奪う権利なんて誰にもない。






「決行はいつにする?」


『早い方がいいかな』


「…明日か」



そうだね、とみんなが頷いたから決行は明日。









チカラを失った少女
(それでも希望は失わない)





-continue-




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