真夏のある日。
もう夏休みが始まっているのに、学校にはたくさんの女の子たちがいる。
「きゃーっ、不二先輩!」
「手塚先輩、こっち向いて下さい!」
女の子たちの熱烈な黄色い声援が飛んでいる。
その声援に笑顔を振りまく人もいれば、完全無視する人など様々。
しかし私も女の子の黄色い声援を馬鹿にするどころか、その内1人なわけで。
「菊丸ビーム!」
『きゃーっ、菊丸先輩かわいい!』
大好きな大好きな菊丸先輩。私もこの人目当てで学校に来ている。
自分で言うのも何だが、私は可愛らしい人が好き。
特に菊丸先輩を見ているだけで、胸がきゅんきゅんする。
だから彼みたいなタイプは苦手。
私より年下なのに大人ぶったような口調で、いつも自慢気で生意気な1年ルーキー。
「名無しさん先輩」
ほら来た。
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