「名無しさんの彼氏って可愛いよねー!」
教室で友達とお昼ご飯を食べているときに言われた。
私の彼氏は1つ上の菊丸先輩。
赤い髪色でアクロバティック。猫みたいで可愛いって有名な人。まあ、口癖がにゃーだしね。
「私もあんな可愛い彼氏欲しい!」
彼氏がいない友達がそう嘆いた。だけど私の頭にはハテナマークが大量に浮かんでいる。
『菊丸先輩は格好良いんだよ?』
…可愛いよりも格好良い。私はずっとそう思っている。
照れもせずに言う私に代わって、友達がはぁっとため息を吐いて照れた。
「はいはい、ご馳走様。
名無しさん、屋上行かなくていいの?」
『あ、そうだった!行ってきます!』
バタバタとお弁当箱を片付けて慌てて教室を飛び出す。
教室の方から聞こえている、行ってらっしゃいの言葉を背に屋上への階段を駆け上がった。
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