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□溢れる涙
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『周助ー!』
夕日で紅く染められているテニスコートに
響き渡る可愛らしい名無しさん先輩の声。
その声に部員達は色めきだつ。
「あ、名無しさん」
呼ばれたのに気付いたのか、不二先輩が
名無しさん先輩のところに駆け寄った。
照れながら不二先輩に笑顔で話している
名無しさん先輩を見て、嫉妬心を抱く。
もちろん、名無しさん先輩は俺のじゃない。
寧ろ、不二先輩のものなのか。
そんなことも分からないくらい俺は
名無しさん先輩のこと何も知らない……。
「おい、越前!何怖い顔してんだよ!」
桃先輩にそう言われ、やっと気付いた。
どうやら俺は怖い顔をしていたらしい。
自分でもポーカーフェイスと思っていたけど
名無しさん先輩の事となると、別みたいだね。
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