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□気を紛らわす
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『リョーマ、あの雲って何だか分かる?』
俺の部屋の窓からぼーっと空を眺めていた
名無しさんがあれ と空を指差す。
俺は読んでいた雑誌をぱたっと閉じて、
名無しさんの隣に立ってその指差す方を見る。
「積乱雲…だっけ」
『……だよね』
そんなに雲の名前を詳しくなくても誰もが
夏の空にもくもくとしている大きな雲を
発見したら積乱雲とか入道雲と言うだろう。
夏に見られて短くて激しい雨を降らすと
眠たいながらも聞いていた授業で言ってた。
だから何なんだろう。
彼氏の俺でも名無しさんの考えていることが
たまに分からなくなる。
しかし少し考えたら、あぁ なるほど と
名無しさんの考えを読み取ることができた。
「カミナリね」
漫画の様にぎくっとした顔をする。
きっと積乱雲を発見してカミナリを恐れて
もしかしたら違うかもと希望を込めて
改めて俺に確認を取ったんだろう。
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