『英二!』
名前を呼ぶ声ですぐに分かる。大好きな名無しさんの声だから。
でも大好きという思いは俺からの一方通行で、名無しさんには好きな人がいる。
「おちびならあっちだよ」
まさか2つ下の後輩に取られるなんて思ってもいなかった。
幼なじみの名無しさんはずっと俺といるものだと思っていた。
おちびは名無しさんと初めて会ったときに告白した。
「アンタに一目惚れした。俺と付き合ってくんない?」
10年以上抱き続けていて、だけどタイミングが…とか言って告白出来ずに誤魔化していた俺。
それとは逆に惚れた瞬間、すぐに思いを伝えたおちび。
最初は断っていた名無しさんも最後にはストレートに感情を伝えるおちびに落ちた。
情けなくて格好悪いけど、完敗。
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