『越前くんって何でも出来るよね！出来ないこととかないの？』
放課後、図書委員の仕事中に同じクラスの雨宮が言った。
「いきなり何？」
こんな風に言うと怒っているみたいに聞こえるけど、心の中では喜んでいる。
雨宮のことが好きだから……。
でもこの思いは届かないから、アイツには言わない。
『だっていつも桃が言ってるんだもん！越前に出来ないことはないのかって！』
そう、雨宮は桃先輩の彼女。
この前まで桃先輩って呼んでいたのに、いつの間にか桃に変わってるし……。
そんな些細なことが気になるなんて、俺もまだまだだね。
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