そのいち

□探しに行こう
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『日向 棗ーっ!』



最初はただ単に、ナルに頼まれただけ。
最初は面倒なだけだった。

それが今では私の役目に変わった。





北の森を歩きながら、きっとここで
サボっているであろう彼の名前を呼ぶ。


しかし、何度叫んだって返答はない。





今日の空は曇り覆われていて、薄暗く
いつも彼を探しに来ている北の森に
何だか違う雰囲気が漂っている。





『日向 棗…』



自然と彼を呼ぶ声が情けなくなる。
今では寧ろ、探しているというよりも
迷子といったほうが正しいかもしれない。





ガサッ…



薄暗く不気味な北の森に響く。




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