そのいち
□花火
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『棗!棗!セントラルタウンで
花火買ってきた!一緒にやろ!』
ノックもせずにバタンとドアを開け
ずかずかと入ってきたのは、彼女の名無しさん。
今は9月下旬。花火の季節がとっくに
過ぎ去った今、きっと売れ残った
花火を安く買ってきたんだろう。
そんな季節外れの花火を持ちながら
キラキラした目で俺を見る名無しさんが
可愛く見えて、思わず承諾してしまう。
惚れた弱味だな……。
ぱあっと明るい笑顔になる名無しさん。
俺はとことんこいつにハマっている。
『じゃあ今から行こ!』
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