そのいち

□月の下で
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今の時刻は深夜1時。棗が任務に出て丸2日。まだ帰ってこない……。





彼がボロボロになるまで戦って、一体何になるのだろうか。アリスを使う度に命を削られているのに、戦う理由が一体どこにあるんだろうか……。



真っ暗な部屋でそんなことを考えながら、棗の部屋で彼の帰りを待っている。するとカタッと窓が開き、月明かりが入ってきた。





「…名無しさん」



一瞬驚いていたが、すぐに優しい声に変わった。大好きな棗が帰ってきた。少しボロボロな感じもするが、とりあえず大きな怪我もなく無事に帰ってきてくれたことが何よりも嬉しい。






『おかえり、棗』


「…ただいま」



駆け寄る私を包み込むように抱き締め、柔らかなキスが舞い降りてくる。疲れているはずなのに、たくさんの愛が流れてくる。





嬉しいけど苦しい。
私はいつも棗が無理をしているのではないか…と不安になる。きっとそういうことを言わない人だから……。






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