そのいち

□ドキドキ大作戦!
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『棗、好きだよ?』



なーんて甘い言葉を彼に囁いても、彼から甘い言葉が返ってくる訳ではなく……。




「知ってる」


その一言だけ。



私が君を好きだなんて学園中の生徒は愚か、先生達だって知っていることだけど……。




私は彼の言葉や行動の一つ一つにドキドキするのに、棗は私にドキドキしないのかな。








『ねぇー、蛍!どう思う?』


「ただの惚気かしら?」



そう言いながら、チャッとバカン銃を構える蛍。




『違います、だからそれを下ろしてもらえませんか』



そう願うと、蛍がクスッと微笑んで下ろしてくれた。





「彼をドキドキさせてみたら?」


『どうやって?』


「名無しさんからキスするとかよ。きっと名無しさんのことだから、一度も自分からキスしたことないでしょう」




…蛍さん。何故かそれをご存じで?


思いっきり図星。だって自分からなんて恥ずかしいじゃん。




『…出来ないよ』




「彼、喜ぶと思うけど」



…棗が喜ぶ…?


蛍のその一言で私の心は決まった。







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