そのいち

□月夜の誓い
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「名無しさん、別れよう」



月だけで照らされている俺の部屋。ある日突然、別れを告げたのは俺の方から。



好きだから付き合って好きだから一緒にいたけど、傷ついているお前に気が付かなかった。その時、自分の無力さにとことん呆れた。




『やだ…っ…別れようなんて、言わないで…っ』



本当は泣いて縋る名無しさんを嘘だと言って抱き締めたかった。甘い口付けを交わし、名無しさんの耳元で甘い言葉を囁きたかった。



けれど……。




「悪ぃ、お前は俺じゃないほうがいい…」



『やだ…っやだ…!嘘だよね…、棗…』




けれど、俺は名無しさんを突き放した。俺なんかじゃなく、もっと将来がある奴と一緒にいた方がいい……。





そう…名無しさんの為を思って。






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