二つの世界の者達

□今朝騒動編
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【第0章*…*少女】


――美しい花が咲き乱れる草原。
穏やかな風に乗って、花びらが舞う――…。


――そんな草原に……少女は立っていた。
たった一人で…――。


少女の胸元には、銀の鎖に繋がれた二つの指輪。

それを、少女は不安そうに握りしめる。


――…少女は……待っていた。


――誰を?


……此処で約束した――
愛しい人――…。


――約束?


そう、約束。
此処で、会おうと約束した……。
此処に、必ず来るから……と。


その約束と愛しい人がくれた指輪が…――
彼女を支えている。
たった一人……待ち続けている少女を――…。


――…早く。
早く来て――そんな想いで、少女は胸がいっぱいになる。


だが、少女の想いとは裏腹に――
愛しい人は、まだ……。


………少女は、不安に押し潰されそうにる。


けれど、約束した。
この指輪に……約束した。


――来る。
貴方は……きっと来る。


私は――




…――待ってる。



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