二つの世界の者達
□今朝騒動編
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【第1章*…*バラムガーデン】
――バラムガーデン。
そこは、強き傭兵を育てる学園である。
だが、普段は普通の学園と変わらない。
友達同士でお喋りしたり、食堂で食事をしたり……。
――…そんな、普通の学園と変わらない光景が見られる学園……。
しかし、戦場に出れば……生徒達は武器を手に――
戦うのだ。
× × ×
「あ! ツナ〜!!」
廊下を歩いていた少女。
しかし、教室から友人が出て来た事に気付き、声を上げて呼び止める。
「ん?…満月!」
名前を呼ばれ、少女に気付いた友人――沢田綱吉。
通称…――ツナ。
彼は、タタタッ!と小走りで少女の方へ近付く。
「何やってたの? 授業サボって」
「恭君とお昼寝☆」
ニパッと笑顔で即答する少女――満月。
そんな満月に、綱吉からは「はぁ〜」と深い溜め息。
「キスティス先生が怒ってたよ……」
「大丈夫♪ キスティス先生は優しいから♪」
「……はぁ…」
「あ! スコール見なかった??」
思い出したように、満月が切り出す。
「スコール? 見てないよ」
「そっかぁ…」
綱吉の返事に、少し困り顔で呟く。
「何か用事?」
「ほら……今朝、サイファーとやりあったでしょ?」
それだけで、綱吉は分かったようで…――
「成程。ヒバリさんが怒ってるんだ……」
「うん。風紀が乱れたって」
「てか、サイファーも風紀委員だよね……」
「でも、サイファーと恭君は対立してるから…」
――バラムガーデンにも、風紀委員が存在する。
だが、二つある。
雲雀恭弥率いる風紀委員と――
サイファー率いる風紀委員である。
……主に活動しているのは、雲雀率いる風紀委員だが。
「……性格的に合わないのかな…」
「サイファーは、あんな性格だからね」
「うん。……そうだ、スコールを探しに行こうか」
「一緒に探してくれるの?」
「うん。スコールに、応接室に行くように、って言えばいいんだよね?」
「うん。恭君に頼まれたからね」
そう言う満月に、
(……頼まれた?! 命令じゃなくて?!)
などと、疑問がある綱吉だったが――
満月が雲雀から頼まれた、スコールへの言伝を伝えに――
二人は、スコールを探す事にした。
この……広いガーデン内を…――。