二つの世界の者達
□保健室編
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【第2章*…*ガンブレード使い、スコール】
「っ……」
意識を失っていた少年。
目を覚まし、一番最初に視界に入ってきたのは――
保健室の真っ白な天井だった。
まだ昼前だからか、天井に日の光が反射して眩しさを感じる。
「……………」
少年は光を遮るように、右腕を目の上に置いた。
すると――
「スコール……また会えたね」
いつの間に入って来ていたのだろうか?
一人の女性が、ベッドで横になっている彼に――
そう……囁いた。
「……?」
少年は不思議に思ったが、尋ねる暇もなく――
女性は行ってしまった…。
疑問が残る少年だったが、
(……誰だったんだ…?)
というぐらいの疑問で、後は大して気にも止めなかった。
と――
「スコール! 発見!」
少し疲れ顔の綱吉を連れて、満月が入って来た。
「……さっきの女子は誰だ?」
もしかしたら、さっきの女性を知っているかもしれない――…。
そう思い、少年――スコールは二人に尋ねる。
スコールは二人のクラスメートで、ガンブレードの使い手。
ガンブレードというのは、銃の性能が追加された特殊な剣。
それ故に扱いが難しく、扱える者は滅多にいない。
多くの生徒が通うバラムガーデンでも、スコールとサイファーしか使い手がいない程だ。
「…?? 女性? ここに居たの?」
「…? 見なかったけど?」
どいやら、二人は会わなかったようだ。
「……そうか」
「…気になるの?」
珍しい――そう思いながら、綱吉が聞く。
すると、
「……別に」
冷めてるとも言えそうなスコールの返事。
「そう……」
スコールの態度が、気にならないと言えば嘘になる。
だが、綱吉はそれ以上深く聞かなかった。
……スコールの性格上、嫌がると思ったからだ。
「それより! スコールは応接室!」
ビシッと!と、スコールを指差しながら――
満月が、少し怒った口調でスコールに言った。
「…………今朝の事か」
応接室と言っただけで、スコールは意味が分かったらしい。
「そー。恭君が、ご立腹ですよ」
「………後で行く」
「ダメ。今すぐ。じゃないと、反省文の枚数が増えるよ」
「………分かった」
ゆっくりと、上半身を起こすスコール。
今朝、サイファーに付けられた顔の傷が…――
まだズキズキと痛んだ――…。