二つの世界の者達
□保健室編
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(まだ……痛むな…)
ズキズキと痛む傷に、少なからず、スコールはそう思う。
だが、応接室に行かなくてはいけない。
スコールはベッドから降りた。
すると…――
「あれ? もう行くの?」
「! 白蘭先生!」
後ろから話し掛けてきた人物に、綱吉と満月が同時に声を上げる。
「やっ♪」
話し掛けてきたのは、保健の白蘭先生。
保健の先生は、もう一人…シャマル先生もいるのだが……。
男は診たくないとかで、あまり保健室にいない。
「まだ…休んでた方がいいよ♪」
と、マシュマロを食べながら白蘭がスコールに言う。
白蘭は、いつもマシュマロの袋を持っていて、いつも食べているのだ。
「もう大丈夫です」
まだ少し痛むが、スコールは白蘭に言った。
「そう? でも、無理しない…」
「びゃっくら〜ん!」
「白蘭様」
――白蘭の気遣いは、今し方、保健室に入って来た二人の声でかき消された。
「また来たの? ブルーベル♪ 幻ちゃん♪」
入って来た二人の名前を口にする白蘭。
「だって、暇なんだもん!」
青い長い髪の少女――ブルーベルは口を尖らせながら言う。
彼女は、この保健室によく来る常連というヤツだ。
大半の理由が、白蘭とお菓子を食べる事と遊び目的だ。
因みに、彼女も満月達のクラスメートである。
「白蘭様のお手伝いを、と思いまして」
同じく、保健室の常連――幻騎士。
彼はブルーベルと違い、白蘭の仕事の手伝いが理由であり――
もう一つ、ブルーベルと違う事がある。
それは、彼も白蘭と同じ先生である事。
「ブルーベルって、よく保健室に来るよね…」
二人を見ながら、綱吉はポツリと呟く。
「恭君も、よく来るよ」
隣で、同じく二人を見ている満月が答える。
「ヒバリさんも?!」
「うん。ガーデンの風紀を守るっていうのは、ストレスが凄く大きいんだって」
その衝撃的なセリフに、
(あんだけ暴れてんのに、ストレスなんてあるのー?!!)
ツッコミたくなる綱吉だったが、黙って続きを聞いた。
「で、ストレス解消の方法の一つとして…ここで仮眠を取ってるんだって」
続いて聞いた話に、
(今度から…保健室に来れねー!!)
綱吉は悲劇の一言。
「知らなかったの?」
「知らないよ!!」
満月の一言に、即答で言葉が出た綱吉。
知りたくなかったような……知って良かったような……。
そんな事を知った綱吉だった……。