二つの世界の者達

□事件発生編
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応接室へと足を進める、スコール。


(………? あれは…)


不意に……訓練施設の前に立っている女性に目が止まった。
その女性とは――
食堂で働いている教員…ビアンキ。


(…………面倒だ)


ビアンキに見付かると、何かと面倒と判断。
幸い、ビアンキは此方に気付いていない。
スコールは、違う通路から応接室に行こうとした。
――が、


「……! スコール!」


突然、此方を振り向いたビアンキ。
結局……スコールは見付かり、呼び止められた。


「……何ですか」


本当は無視したい所だが…――
そうすると、ビアンキの場合、ややこしくなる。
素直に従っておくのが、一番得策。


「手を貸しなさい」


何の説明も無く、命令するように告げるビアンキ。


「……どういう意味ですか?」

「実は…クロームとランボが訓練施設に行ってしまったのよ」


真剣な表情で話すビアンキだが、スコールは――


(…クローム?………あぁ…あの術師)


名前を聞いても、最初はピンと来なかったスコールだったが……。
クロームもクラスメート。
教室で顔も見ているし、名前ぐらい耳にしている。


「それで……俺にどうしろと?」

「助けに行って欲しいのよ。訓練施設では、私にはきついわ」

「……命令ですか?」

「……命令じゃないと、貴方は行かないの?」

「………分かりました」


これ以上、話すのは面倒だ――ビアンキの問い掛けで、そう思ったスコール。
答えを返す事無く、スコールは引き受け――
訓練施設へと入って行った……。

――その様子を、ビアンキは黙って見ていた。



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