二つの世界の者達
□事件解決編
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【第4章*…*両者が動く】
ガオオオォォォ!!!
地響きのような声。
それは……両者の体や耳をビリビリと震わせていた――。
× × ×
「!!!!」
足を止める四人。
体も然る事ながら、耳の鼓膜に痛みを感じる程の――
空間の震動。
「今の何!!?」
震動が治まると、満月の声が空間を震わせる。
先程の震動には遠く及ぼないが、綱吉達の耳を震わせるには充分だ。
「わ、分かんない! でも、猛獣の声みたいだけど…」
周りをキョロキョロしながら、綱吉は思った事を口にする。
「もしかして…クローム達に何かあったんじゃねぇか?!!」
まだ動揺が見られる山本が、まさかの事態を言う。
「!!!」
三人が動揺を色濃くし、一斉に山本を見た。
「ヤバイよ!! 声のした方に急ごう!!!」
青ざめている綱吉が、自分に命令するように声を上げた――…。
× × ×
「!!!」
綱吉達と同じように……訓練施設にいたスコールも足を止めた。
――あの咆哮で…。
(…………モンスターか?)
綱吉達とは違い、スコールは冷静に推理する。
(襲われたのか…?)
彼らと同じ結論に至り、スコールは歩きから走りに変えた――…。
× × ×
両者が急ぎ向かう場所にいるクロームは――
「…っ…!」
宙を舞い、勢いや重力も加わった衝撃の痛みを…痛感していた。
特に、右肩を強く打ったようで…痛みで動かせない。
(…骸…様っ…!!)
横たわりながら…――
ぎゅっ!と槍を強く握り、祈るように、ある人物を強く想う――…刹那。
――おやおや…仕方がない子ですねぇ。
彼女の脳裏に響く…男の声。
途端に、クロームの体を霧が包み――その姿を変えていく…。
「クフフフ……」
――…やがて…少女の体は、少年の体へ。
「任務中だったのですが……可愛いクロームが危機とあらば、致し方ありません」
スッ――と立ち上がり、槍の矛先をアルケオダイノスに向ける。
そして――
「僕は、クロームのように優しく愛でませんよ。クフフフ…」