アラウディの…部下?

□私の日課編
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【部下10! 貴方の部下へ!】


この日、アラウディは珍しく自室に居た――。


「これで……全部かな」


今、アラウディは書類の整理をしている。
そこへ、突然……。


――ばん!!


「アラウディ様!! 好きです!! 付き合って下さい!!」


扉を少し(?)乱暴に開けて、知火が入って来た。


「嫌だ」


そして、いつもの台詞をアラウディに言って断れた。


「む〜〜……。じゃあ! 部下にして下さい!!」

「………いいよ」

「ありが…………。!!! 本当ですか!!??」

「ただし、この書類を一時間以内に片付けたらね」

「えぇ!!?」


アラウディに言われた書類は、山のようにある。
机には、置ききれない程……。
普通に考えて、一時間以内で出来る枚数ではない。
驚く知火を眺めながら、アラウディは意地悪な笑みを浮かべている。


「もちろん、出来なかったら部下にはしない。…やるかい?」

「や、やります!!」

「そう……。じゃ、頼んだよ」

「はい!!」


そう言って、アラウディは部屋を出た。


「よし! やるぞ!!」

「わんっ♪」

「! ゴメン、雲流(うる)。今は遊べないの」

「わう??」


この前の子犬は、知火が引き取っていた。
オスで、名前は雲流だ。
甘えん坊で、彼女にべったり。


「いい子で、待ってて」

「わんっ!」


雲流にそう言ってから、知火は書類を片付け始めた。



×  ×  ×



ガチャ!
一時間後……アラウディは戻って来た。
すると、書類は片付き…知火が椅子に座ったまま眠っていた……。


「……!」

「すぅ……」

「………くす」


さら……。
アラウディは、静かに彼女の髪に触れる――…。


「おめでとう」


――…触れるだけから、撫でるに変わり……。
優しく撫でていく――。


「僕の部下だよ――…」


――…アラウディの呟きは。
眠っている、彼女には聞こえない――。
――聞かせる気は……さらさら無いからだ。



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