アラウディの…部下?
□私の日課編
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あれからジョット達は、後始末を部下に任せ、知火を連れてアジトに戻った――…。
その後――彼女は、特別医療室に入院した。
医療室より、更に設備が整っている場所だ。
「今、精神安定剤を飲ませました。そのおかげで、大分落ち着いてきて…今は眠っています」
知火が眠っている部屋の前で、ジョット達に容態を話す医者。
「そうか…」
「あそこで……何されたんだものね……」
「相当怯えていたでござるからな……」
「確かに何をされたかは気になるが……それより知火の心の方が、究極に心配だ!!」
「そうだな……」
「…………」
× × ×
翌日の朝――…。
「…………?」
「! くぅん……」
彼女が目を覚ますと、クールが隣にいた。
眠っていたのは、もちろん、ベットの上だったが…大型犬のクールには登れる高さだ。
「!…………」
「わん……?」
「…………」
「――!!!」
敏感なクールは……知火の異変に気付く。
――と、その時、アラウディが入って来た。
「やぁ…目が覚めたかい?」
「!…………」
「………?」
全然喋らない彼女――…アラウディは不思議に思う……そして。
「………君、もしかして喋れないの?」
まさかと思う、だが……知火は首を縦に振った――…。
「――!!!」
…――彼女は……完全に声を失ってしまっていた……。
応接室にいる、ジョット達に伝えれば…――
「!!!」
当然、衝撃が走る。
「知火が…喋れなくなっただと?!!」
ガタッと、ソファーから立ち上がるG。
その隣では、ジョットが言葉を失い――茫然としている。
「そんな……信じられないんだものね!」
「知火……」
首を横に振るランポウに、うなだれてしまった朝利雨月。
「恐らく、ショックな事が立て続けに起きたせいでしょう……」
「やはり、心の傷は……究極に深かったのだな……」
冷静に話すDの隣にいるナックルは、いつもの暑苦しさは、どこへやら……。
「そうだろう…友人を殺されただけじゃなく、実験体にされたのだからな……」
茫然としていたジョットが、囁くように話す。
「…………」
――…全員に沈黙が流れる。
長い長い沈黙が……重くのしかかる。
何を言えばいいのか……どうすればいいのか――…。
誰も分からないのだ。
そんな中、ジョットが重い口を開いた――。
「今は………知火の傍にいよう………」