アラウディの…部下?
□私の日課編
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【部下5!クール、警察犬への道】
脱会事件から、三日後の事―――。
あの事件以来、クールの日課は…知火と一緒に、いつもの時間に警察犬訓練場で訓練する事だ。
(クールは凄いな…あんな事があったのに、目標を失わずにいる――)
…――それなのに、私は喋れなくなって……挙げ句には逃げて――。
「わん!!」
クール……ちゃんと、警察犬にしてあげたいな…立派な警察犬に――。
× × ×
それは、その日の夜……ボンゴレアジトでの事だった。
《それは本当ですか?》
「あぁ。カミルに警察犬訓練を教えた叔父がいてな。その叔父が、引き取って訓練してもういい、と言ってくれた。……どうだ? クール」
ジョットが、クールに警察犬訓練の話を持ってきてくれたのだ。
「わん!!!」
「行くんだな」
「わん!!!」
――クールは…強いな。訓練してくれるのも褒めてくれるのも、カミルさんじゃない……。
それでも――…カミルさんとの夢を叶えようとしてる。
それが、一番カミルさんが喜んでくれる事を――クールは分かってるんだ――…。
× × ×
翌日、叔父が引き取りに来た……。
叔父は、カミルさんが使っていた訓練場で、クールの訓練をする事にしたらしい。
そこで、訓練してこそ意味があるからと――。
だから――…。
「いつでも、クールの訓練を前みたいに見においで」
……と、私に言ってくれた……。
× × ×
その日の夜――…中庭に知火の姿があった。
最近は、クールとずっと眺めていた月を……一人で彼女は眺めている――。
(クールは、前に進み始めてる。私も…クールのように強くなりたい!!)
月を眺めながら、決意を固めついると――
「君は、此処が好きなのかい?」
「…!!!」
いつの間にか、アラウディが傍に立っていた――。
(…………)
アラウディ様――。
「いつも、此処に居るね」
そう言いながら、さりげなく知火の隣に座るアラウディ。
「………犬」
「…?」
犬…? クールの事?
「警察犬になれるらしいね」
「…!!」
知ってたんだ……。
アラウディの話に知火は、コクリ、と頷く。
「あの犬なら……いい警察犬なるよ」
――アラウディ様………クール…。
今度はゆっくりと、コクリ、頷く。
知火の肩が……微かに震える――。
流れそうな涙を……懸命に我慢する。
我慢する為に、下唇を軽く噛んだ……。
それでも――涙は我慢しきれる代物ではなかった……。
何故か、よく分からない感情と共に溢れる……涙――…。