アラウディの…部下?

□私の日課編
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それは……修行の翌日の特別会議室での会議中に起こった――。


(会議とか…、緊張するなー)


正式に守護者になった彼女は、特別会議室での会議に参加していた。
彼女にとって、初めての会議である。


「それで、このファミリーについてだが…どうやら銃の密輸をしているらしいんだが…」


部下からの報告書にある件ついて、Gに確認するジョット。


「それなら、既に証拠を押さえてあるぜ」

「そうか、助か…」

「ぎゃあああぁぁぁ!!!」


突如、知火の悲鳴が会議室に響く――。
全員は驚きつつ、彼女の方に視線をやると――


「イヤぁぁ!! 何でこっち来るのォォ!!!」


カサカサ……。


「クモ…でござる」


ポカンとした顔で、朝利雨月が呟く。
知火が悲鳴を上げた理由――それは、クモ。
中々大きいクモだ。


「クモ如きに何してんだよ!!?」


呆れた様子で、Gは怒鳴り声を上げる。
よもや、会議を中断させる悲鳴の原因が、クモとは……。


「誰、か!! 何とかしてぇ!!」


半泣き状態で、パニクる知火。


「知火! お、落ち着くんだものね!!」


珍しく、ランポウがなだめに入る。
しかし――


「ヤ――!!」

「おい! 落ち…。!!」


どん!!
逃げようと走った彼女は……ジョットにぶつかってしまった――。


「っ…! 大丈夫か?」

「ボス〜助けて下さい〜////////」


もう涙目で、上目遣いに頼む彼女。


「!! わ、分かった! 助けるから、離れてくれ//////」

「………」


その様子を、アラウディはムスッとした顔つきで見ていた――…。


「は……あ……まだ…心、蔵が…」

「大丈夫でござるか?」


そう言いながら、朝利雨月は、知火に水の入ったコップを手渡した。
彼女は、その水を少し震える手で受け取った。
――…クモは、ナックルが窓から外へ逃がした。


「ありがとうございます……」


ゴクン……。
受け取った水を、早速一口飲む…。


「知火は、クモが苦手なのか?」


落ち着かせるように、知火の背中を、さすりながら聞くナックル。


「苦手というか……大嫌いですね…」

「知火も、虫とか苦手なんだ……」


少々失礼な発言をするランポウ。


「俺達でも、普通に気持ち悪かったからな……」


うーん…と、唸るジョット。


「先程のクモは、結構大きかったですからね。余計、嫌だったでしょう」

「そうなんです……はぁ……」


大きく、深い溜め息。


「……だ、大丈夫か? 知火」


優しく声をかけたジョットだが――


「は…ぃ?!」


紙が落ちる音に、びくついた知火……。


「……大丈夫では、無さそうでござるな」


苦笑する朝利雨月は心配そうだ。
それに賛同するかのように、ジョットも苦笑しながら…――


「そうだな……」


――初会議は……怖い思い出になった事は確かだった……。



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