アラウディの…部下?

□私の日課編
26ページ/41ページ




ジョット達に、大きなチョコケーキを作った知火。
そのお陰で、食堂は賑わっていた――…。
見渡せば、つまみ食いして、頬に生クリームを付けている、ランポウがいるし。
その隣では、朝利雨月がケーキを切り分けている。
そんな賑やかな食堂に、無関心そうなアラウディが――…。


「…………」

「あっ、アラウディ様! ケーキの味は、どうですか?」


さっきまで、ジョットと話していた知火が声をかける。


「別に」


ケーキが乗った皿を片手に答える。


「あはははっ。アラウディ様らしいです」


――周りでは、ジョット達がチョコケーキを美味しそうに食べている。
ところが、アラウディの気分は優れない。
何故か?


「…………」

「?? 何ですか??」


知火を見つめる、アラウディ。


「別に」

「……?」


彼女が、明らかに自分へのチョコを隠してるからだ。


「ねぇ…」

「はい?」

「その箱は何?」


イラついたから、いじめてみる。


「!? な、なな、何でも無いですよっ!」


知火は、慌ててポケットの中の箱を隠す――。


「じゃあ、見せなよ」


よく分からないけど、イライラするから更にいじめてみる。


「だ…だめです!!」


だ――!!
彼女は、逃げるように走って行ってしまった。


「!!」


……逃げたね。
でも、君の行く所は決まってる。
そう―――中庭だ。



×  ×  ×



彼女を追い掛けて、アラウディは中庭に来た。


(……居た)


いつもの場所にいる知火を見つけた。


「アッ、アラウディ様ぁ!? 何で…//////」

「君の行く所なんて、すぐ分かるよ」

「うぅ…///////」

「…………」


――…ドン!


「!!!??//////」


アラウディが、知火の後ろに木に手をかけ……彼女を逃げられないようにする――。


「あ、あ、あ、あらう、でぃさん!?//////」

「君が悪いんだよ」


ムスッとした顔で言うアラウディ。

「な、な、…で…私が悪いんですか!!/////」


……顔近い!!


「…それを素直に渡さないから」


まだまだ、アラウディはムスッとした顔。


「!!…じゃ、じゃあ、受け取ってくれるんですか?///////」

「くれるんでしょ?」

「!! もちろんです!!///////」


頬を赤くし、潤んだ瞳で上目遣いで喜ぶ知火――。


「!!!!」

「良かった…//////」

「…………」


それは――アラウディのチョコ――…。
そのチョコを受け取った、アラウディ。


「…………」


ぱくっ……。


早速、箱を開けてチョコを一口。


「どうですか?」


恐る恐る聞く知火。


「……これ、コーヒー味?」

「あ…はい…!」

「………美味しい」

「!! 良かったですっ!///////」


大喜びする知火。
そんな彼女を見て、アラウディは――…。


「……口開けて」

「……? はい?」


言われた通り、知火が口を開けると――。


「…!!」

「美味しいでしょ?」


口の中に、チョコを入れられた……。


(これって…食べさせて貰っちゃった…?/////////)


さりげなかったが、嬉しさが溢れてくる。


「……ありがとう」

「ぇ……?//////」

「…チョコ…」

「…!! はい!////////」


アラウディは気付いていない――。
けれど……二人の距離は近い――…。



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ