アラウディの…部下?

□私の日課編
5ページ/41ページ




警察犬訓練場で、あまりのショックで倒れてしまった知火―――。


「おい!! 知火!! しっかりしろ!!」


慌てて、ジョットが駆け寄って抱き起こす。


「G!! ボンゴレの医療班を呼べ!!」

「ああ!!」


現場は部下達に任せ、ジョット達は知火と共にアジトへ――
ボンゴレアジトの医療室に……彼女は運ばれた。


「知火……心配だものね……」

「大丈夫だ! 医者もショックで、気絶しただけだと言ってたしな!!」


不安げに言葉をこぼしたランポウに、それを払拭するようにナックルが声を上げる。


「…………」

「…アラウディ!!」

「…何だい?」


黙っていただけのアラウディに、ナックルが彼を呼ぶ。


「知火の傍に居てやれ!!」


ナックルに、そう言われたものの…――


「…………」


黙ったまま、アラウディは目を伏せて床を見つめる。


「そうしてあげたらどうです? 今だけでも…彼女も目を覚ました時に、君が居た方が少しは安心するでしょう」


何も言わないアラウディを見かねたのか、彼を促すD。
すると、


「…分かったよ」


アラウディを知火の傍に残し、他は今回の件について話し合う事にした――…。



×  ×  ×



――…三時間後、彼女は目を覚ました。


「っ………ここ……は……?」

「目が覚めたかい?」

「………??」


状況が理解できないのか、ぼーっとアラウディを見る知火。
しかし、しばらくすると――


「……!!! カミルさんは!? わんちゃんは!!?」


ガバッと体を起こし、焦った顔で質問し出した。


「落ち着きなよ。彼は……助からなかった。犬は、ボンゴレが預かってる」

「………そん……な……っ……」

「…………」


一方、彼女とアラウディ以外の守護者達は……困っていた。


「犬……全然メシ食わねーぇな」


クールの前あるエサの入った器を眺めるG。
小さく、「はぁ…」と溜め息をつく。


「無理も無いでござるよ…」

「うむ。大事な主人を突然、亡くしたのだからな」

「可哀相なんだものね……」


Gと同じく、器を見ながら思いをこぼす――朝利雨月、ナックル、ランポウ。
そんな彼らの頭を抱える原因のクールは、ずっと体を伏せている。


「…………わぅ……」


クールはカミルが亡くなったせいか、食事に口をつけなかった……。


「何故……カミルを殺したんだ……?」


悲しげな表情でクールを見つめるジョットから、疑問が口から出た。


「何か…まずい現場でも見られたのでしょう」

「…………」


冷静に考えを言ったDに対し、ジョットは、ますます悲しげな表情が増す。


「カミルを殺すとは許せねぇ…!!」


ギリッ! と下唇を噛み締め、Gは強く握った拳を作る。
その時――


「わん…ちゃん……」


ふらふらな体で、現れた知火……。
その顔は、ジョットよりも悲しげで――…。


「!!!」


当然、全員が驚愕した。


「歩いて大丈夫なんだものね?!!」


彼女の傍に駆け寄り、ランポウが聞くが、知火は「大丈夫……」と答える。
彼女は、クールの事が心配でいても立ってもいられず…来たのだ。
アラウディは、あえて止めようとしなかった。
ただ――…見守るだけ――…。


――彼女本人は、ジョット達が心配の声を掛ける中―――。
――…クールの傍へ。



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ