アラウディの…部下?
□私の日課編
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警察犬訓練場で、あまりのショックで倒れてしまった知火―――。
「おい!! 知火!! しっかりしろ!!」
慌てて、ジョットが駆け寄って抱き起こす。
「G!! ボンゴレの医療班を呼べ!!」
「ああ!!」
現場は部下達に任せ、ジョット達は知火と共にアジトへ――
ボンゴレアジトの医療室に……彼女は運ばれた。
「知火……心配だものね……」
「大丈夫だ! 医者もショックで、気絶しただけだと言ってたしな!!」
不安げに言葉をこぼしたランポウに、それを払拭するようにナックルが声を上げる。
「…………」
「…アラウディ!!」
「…何だい?」
黙っていただけのアラウディに、ナックルが彼を呼ぶ。
「知火の傍に居てやれ!!」
ナックルに、そう言われたものの…――
「…………」
黙ったまま、アラウディは目を伏せて床を見つめる。
「そうしてあげたらどうです? 今だけでも…彼女も目を覚ました時に、君が居た方が少しは安心するでしょう」
何も言わないアラウディを見かねたのか、彼を促すD。
すると、
「…分かったよ」
アラウディを知火の傍に残し、他は今回の件について話し合う事にした――…。
× × ×
――…三時間後、彼女は目を覚ました。
「っ………ここ……は……?」
「目が覚めたかい?」
「………??」
状況が理解できないのか、ぼーっとアラウディを見る知火。
しかし、しばらくすると――
「……!!! カミルさんは!? わんちゃんは!!?」
ガバッと体を起こし、焦った顔で質問し出した。
「落ち着きなよ。彼は……助からなかった。犬は、ボンゴレが預かってる」
「………そん……な……っ……」
「…………」
一方、彼女とアラウディ以外の守護者達は……困っていた。
「犬……全然メシ食わねーぇな」
クールの前あるエサの入った器を眺めるG。
小さく、「はぁ…」と溜め息をつく。
「無理も無いでござるよ…」
「うむ。大事な主人を突然、亡くしたのだからな」
「可哀相なんだものね……」
Gと同じく、器を見ながら思いをこぼす――朝利雨月、ナックル、ランポウ。
そんな彼らの頭を抱える原因のクールは、ずっと体を伏せている。
「…………わぅ……」
クールはカミルが亡くなったせいか、食事に口をつけなかった……。
「何故……カミルを殺したんだ……?」
悲しげな表情でクールを見つめるジョットから、疑問が口から出た。
「何か…まずい現場でも見られたのでしょう」
「…………」
冷静に考えを言ったDに対し、ジョットは、ますます悲しげな表情が増す。
「カミルを殺すとは許せねぇ…!!」
ギリッ! と下唇を噛み締め、Gは強く握った拳を作る。
その時――
「わん…ちゃん……」
ふらふらな体で、現れた知火……。
その顔は、ジョットよりも悲しげで――…。
「!!!」
当然、全員が驚愕した。
「歩いて大丈夫なんだものね?!!」
彼女の傍に駆け寄り、ランポウが聞くが、知火は「大丈夫……」と答える。
彼女は、クールの事が心配でいても立ってもいられず…来たのだ。
アラウディは、あえて止めようとしなかった。
ただ――…見守るだけ――…。
――彼女本人は、ジョット達が心配の声を掛ける中―――。
――…クールの傍へ。