短編集(他)
□]]の気まぐれ…
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【]]の気まぐれ…】
――私は、フリーのヒットマン。
色々なファミリーの所を転々としています。
そんな私が、今回依頼されたのは――…。
「ヴァリアー…?」
「そうだ…ボンゴレの暗殺部隊だ。そこのボスである、男を暗殺して貰いたい」
「……分かった、謝礼は…?」
私はヒットマン、暗殺の依頼なんて…いつもの事。
二つ返事で、この依頼を引き受けた――。
× × ×
謝礼の話などを済ませた、架燐はホテルに居た。
ヒットマンである彼女に、帰る家は無い――。
「……ザンザス…」
依頼主の男から渡された、書類に目を通していく――…。
書類には、ヴァリアーのボス・ザンザスについて詳しく書かれている。
「……ボンゴレのボスになるはずだったんだ……」
私と同じ……。
…――私の場合は、姉さんにボスの座を奪われたけれど……。
(……止めよう……標的に深入りしちゃいけない……)
万が一でも、情が芽生えてはいけないから――…。
そんな想いを抱きながら……彼女は眠りにつく――。
――…真夜中の暗殺の為に。
× × ×
多くの動植物が寝静まる頃。
――架燐は、城とも言えそうヴァリアーのアジトに忍び込んでいた……。
(……広いアジト)
アジト内の広く、長い廊下を進む架燐。
しん……と静かな廊下は、小さな音でも大きな音に変わりそう。
だが、彼女は足音すら立てずに静けさを保っている――…。
(……あ…此処だ)
忍び込んで数分……。
標的である、ザンザスの部屋の前で足を止める。
スッ――…。
扉の鍵をものともせず、扉を開ける――。
それでも、耳が痛くなる程の――静寂。
彼女は、その静寂を保ちつつ……ザンザスが眠るベッドに近付いてゆく――…。
(……ザンザス…暗殺します)
――…額の前にかざされるナイフ。
それを、ザンザスの心臓めがけて振り下ろす――。
まさに、その時――…!!
「――!!!」
腹に……何かが当たった。
焦りからか…架燐の心臓は、速くなっていく。
マズイ……ヤバイ……失敗……?
そんな考えが、彼女の中を巡る――。
そして、恐る恐る…確認する――…。
(!!銃…??!)
腹には――…。
…――銃が…突き付けられていた――。
「貴様……殺し屋か」
「…!!!」
ベッドから、彼女に問い掛ける声――。
それは紛れも無く、ザンザスであった。
「……何処の殺し屋だ…」
「…………」
今の彼女は、答える余裕がなかった――。
初めての失敗に、戸惑いと混乱していたからだ。
だが、そんな事など、ザンザスは知る訳がない。
「ドカスが……答えねぇなら殺すぞ…」
「…!!…殺し屋が…」
殺すぞ、という言葉で、我に返った彼女――。
「そんな事……喋ると思う…?」
「……自分が殺されてもか?」
「もちろん……それが…一流の殺し屋……」
「……はっ! 気に入った…」
「え……?」
「女で、そこまで覚悟があるヤツは珍しい……」
「……私をどうするつもり…?」
「俺の傍らに居ろ」
「……いいけど」
暗殺に失敗した私に、断る権利も…理由もなかった……。
何故……ザンザスが、こうしたのか…、という疑問があったけれど――。