短編集(他)

□愛を叫びましょう!!
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――架燐の気持ちを曇らせたまま、綱吉が来る日は訪れた。


「久しぶりだな、ザンザス」


ヴァリアーの会議室で、幹部達が揃う中…――
綱吉がザンザスに言う。
ただ……空席が一つ――…。


「……ザンザス、その…架燐は?」

「……カスザメ、探してこい」

「な! 俺がか?!」


予想もしないザンザスの命令に、スクアーロは驚く。


「早く行け」

「……チッ!」


仕方なく、スクアーロは彼女を探しに会議室を出た…――。
すると、綱吉も続けて部屋を出た……。


「スクアーロ!!」


部屋を出た綱吉は、直ぐにスクアーロを呼び止めた。


「あぁ゙? 何だ!」

「……俺も行っていいか?」

「……好きにしろぉ。ただし……アイツと何があった?」

「…………」



×  ×  ×



「はぁ……会議…逃げてきちゃった…」


アジトにあるテラスで、溜め息をつきながら呟く架燐。


「……ツナ…」

「架燐…!」

「!!!」


後ろからの聞き慣れた声に、架燐が勢いよく振り返ると――


「ツ…ナ……」

「架燐……俺……お前の事…」

「ツナ……?」


前と変わらない瞳で、自分を見つめてくる綱吉。
架燐の心臓の鼓動は……早くなる。
そして、綱吉の一言で――


「まだ……愛してるんだ」

「!!!」


彼女の中の時は止まった。


「…ぁ……っ…」

「分かってる……でも、知ってて欲しい……俺が架燐を愛してるって事…」

「…ッ…ナ…」


私も……愛して――


「…っ……ツナ……私も……愛し…っ…」

「分かってる……愛して“た”…だろ……?」

「――!!!」


私から……あるモノが溢れ出す……。
それは…雨より酷くて……悲しくて……。


「今は……スクアーロを愛してるんだろ……?」


お前に……居場所をくれた…スクアーロを。


「…ツ…。!!!」


涙が溜まった瞳で、私が見たモノ――
とても悲しげだけれど、私の為に優しく笑ってくれているツナ…――。
そんなツナが……一層、私の涙を溢れさせた…。


「スクアーロが……屋上で待ってる…」

「!!……ツナ…ぁ…りがと…っ…」


ツナ……私の幸せを祈ってくれてるの……?
……貴方は優しい人だものね……。
――…ありがとう――愛していた人…――。
私は言われた通り…屋上へと来ると――


「……!! 隊…長…」

「……話は…済んだかぁ?」

「………私……出て行きます」


ここに来る途中、考えてた事を口にする。


「あぁ゙? 理由は何だ!!」

「……言いたくありません」


理由は……ツナを傷付けてしまったから。
あの時の……ツナの気持ちを、私は分かっていたのに――
なのに…ここにスカウトして居場所をくれた隊長を愛してしまった…。


「なら…認めねぇ」

「!! なっ…認め…ん!!」


私の口を塞ぐように……隊長はキスしてきた。
それは……普通のキスで、直ぐに離れたけれど――


「ぁ…!!!」


同時に抱き締められた。
抱き締める力は強く……私は逃げられなかった――。


「今度は…」

「? 隊長…?///////」

「俺が言ってやる」

「ぇ…? 何…」

「架燐!! 愛してるぜぇぇ!!!」

「!!!///////」

「分かったかぁ…架燐//////」

「……はぃ…私も愛しています……スクアーロ…///////」


私達は……強く抱き締め合い……もう一度キスを交わした――…。
――さぁ……愛を叫びましょう…――。



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