短編集(他)
□愛を叫びましょう!!
2ページ/3ページ
――架燐の気持ちを曇らせたまま、綱吉が来る日は訪れた。
「久しぶりだな、ザンザス」
ヴァリアーの会議室で、幹部達が揃う中…――
綱吉がザンザスに言う。
ただ……空席が一つ――…。
「……ザンザス、その…架燐は?」
「……カスザメ、探してこい」
「な! 俺がか?!」
予想もしないザンザスの命令に、スクアーロは驚く。
「早く行け」
「……チッ!」
仕方なく、スクアーロは彼女を探しに会議室を出た…――。
すると、綱吉も続けて部屋を出た……。
「スクアーロ!!」
部屋を出た綱吉は、直ぐにスクアーロを呼び止めた。
「あぁ゙? 何だ!」
「……俺も行っていいか?」
「……好きにしろぉ。ただし……アイツと何があった?」
「…………」
× × ×
「はぁ……会議…逃げてきちゃった…」
アジトにあるテラスで、溜め息をつきながら呟く架燐。
「……ツナ…」
「架燐…!」
「!!!」
後ろからの聞き慣れた声に、架燐が勢いよく振り返ると――
「ツ…ナ……」
「架燐……俺……お前の事…」
「ツナ……?」
前と変わらない瞳で、自分を見つめてくる綱吉。
架燐の心臓の鼓動は……早くなる。
そして、綱吉の一言で――
「まだ……愛してるんだ」
「!!!」
彼女の中の時は止まった。
「…ぁ……っ…」
「分かってる……でも、知ってて欲しい……俺が架燐を愛してるって事…」
「…ッ…ナ…」
私も……愛して――
「…っ……ツナ……私も……愛し…っ…」
「分かってる……愛して“た”…だろ……?」
「――!!!」
私から……あるモノが溢れ出す……。
それは…雨より酷くて……悲しくて……。
「今は……スクアーロを愛してるんだろ……?」
お前に……居場所をくれた…スクアーロを。
「…ツ…。!!!」
涙が溜まった瞳で、私が見たモノ――
とても悲しげだけれど、私の為に優しく笑ってくれているツナ…――。
そんなツナが……一層、私の涙を溢れさせた…。
「スクアーロが……屋上で待ってる…」
「!!……ツナ…ぁ…りがと…っ…」
ツナ……私の幸せを祈ってくれてるの……?
……貴方は優しい人だものね……。
――…ありがとう――愛していた人…――。
私は言われた通り…屋上へと来ると――
「……!! 隊…長…」
「……話は…済んだかぁ?」
「………私……出て行きます」
ここに来る途中、考えてた事を口にする。
「あぁ゙? 理由は何だ!!」
「……言いたくありません」
理由は……ツナを傷付けてしまったから。
あの時の……ツナの気持ちを、私は分かっていたのに――
なのに…ここにスカウトして居場所をくれた隊長を愛してしまった…。
「なら…認めねぇ」
「!! なっ…認め…ん!!」
私の口を塞ぐように……隊長はキスしてきた。
それは……普通のキスで、直ぐに離れたけれど――
「ぁ…!!!」
同時に抱き締められた。
抱き締める力は強く……私は逃げられなかった――。
「今度は…」
「? 隊長…?///////」
「俺が言ってやる」
「ぇ…? 何…」
「架燐!! 愛してるぜぇぇ!!!」
「!!!///////」
「分かったかぁ…架燐//////」
「……はぃ…私も愛しています……スクアーロ…///////」
私達は……強く抱き締め合い……もう一度キスを交わした――…。
――さぁ……愛を叫びましょう…――。