遊び!遊ぶ!遊べ!

□お使い編
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「……ここ、どこ?」


――ボンゴレ屋敷に行き、綱吉さん(リボーンさんに叱咤されてるのを笑ったら、ペンを向けられて…危なかった!)に報告書を届けた帰り道の並盛商店街。
もう一つの頼まれ事である茶葉を買うため、僕は店を探したんだけど……。
不慣れな日本の町並みのせいか、目下、僕は迷子です。


「おかしいなー…どこで間違えちゃったかな……」


地図を片手に、キョロキョロと辺りを見渡し、考える。
で、何度も地図を見返す。


(ん〜〜〜…)


考えに考えていると――


「困ってんのか?」


若い男の人の声が近くから聞こえて、「え?」という言葉と共に振り返れば……。


「……えと、どちら様ですか?」


青いYシャツに、黒スーツの長身な男の人。
顎に傷があって、何か……長い物を持ってる。
第一印象的には、爽やかなスポーツマン系。


「俺は山本武! よろしくな!」

「あ、火野春桜です。よろしくお願い致します」


ニカッと笑った、という表現が、ぴったりな笑顔で自己紹介してくれた山本さん。
釣られて、僕も笑顔で自己紹介した。


「で、迷ってんのか?」

「はい。めちゃめちゃ迷ってます」

「ははは! 分かりやすいのな!」


初対面だけど、砕けて話してくる山本さんは、とってもフレンドリー。
あっという間に仲良くなって、お店にも連れて行ってくれた。


「ありがとうございました!」

「いいって! こっちに引っ越してきたばかりで、分からなかったんだろ?」

「はい。来てから、まだ三日しか経ってないんですよ」

「それじゃ、分かんなくても当たり前だな!」

「はい。しかも、来た時は知人に車も出して貰い、付き添ってもらって買い物をしたもので…」

「んじゃ、余計に分かんねーよな!」

「はい」


店を出て、歩きながら話す僕と山本さん。
こうして歩いてると、本当に背高いなー。
雲雀さんと、どっちが高いだろ?


「転勤みたいなもんで来たのか?」

「えぇ、似たような理由です。来る時、兄を振り切るのが大変で…」

「へぇ! 兄弟がいるんだな!」


笑顔を絶やさせずに話してくる山本さんは、話していて癒される。
話をしていて、とても楽しい。


「過保護で、心配性な兄ですよ。今日も、メールが来たんですよ?」

「メール?」

「ご飯は食べてるか、とか…ちゃんと眠れてるか、とか……まだ三日しか経っていないのにですよ?」

「ははは! それだけ、春桜が大事なんだろっ」

「まぁ…唯一の家族ですからねー…と、僕はこの辺で!」


そろそろアジトが近い。
関係者以外には知られないように――それが雲雀さんに言われたコト。


「そうか? 家まで送るぜ?」

「大丈夫です! 本当に、ありがとうございましたっ!」


深々と頭を下げ、お礼の一礼。


「なら、いいけどよ……気を付けろよ?」

「はい! また今度、お話し致しましょう!」

「おう!」


わしゃわしゃ、と僕の頭を撫でて、山本さんは去って行った――。
山本さんが手を振ってきたから、手を振り返して見送った…。



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