☆ハボアイ本棚☆

□Sweet Day
1ページ/7ページ

最近…
軍部内がとても浮かれた雰囲気になっています。
軍部だけじゃなくて街の雰囲気も全体的に浮かれモード。
そのワケは…






「中尉は買う派か?それとも手作り派か?」

書類にサインをしながら大佐が言いました。

「バレンタインのお話ですか?」
「ああ」

そう。
2月の代表的なイベントであるバレンタインが、もぅすぐそこまで近付いています。
この間久しぶりに軍部内の食堂を利用したら、隣りに座った彼女も前に座った彼女も本を片手に真剣でした。
ちなみに本のタイトルは…

本命用アレンジチョコ
とか
差をつけちゃおう!オシャレチョコ

などなど。
みんな彼氏の為に頑張るのね、エライわ…なんて。
ヒト事のように思っていた私。
だから当然大佐への返事は

「買う派です」

と。
迷うことなく答えました。

「作る気ゼロな言い方だな」

そんな笑わなくたっていいじゃない。

「だって…買った方が断然美味しいじゃないですか…」

そうよ。
変に手作りなんかにするよりも。
売ってるものの方がずっと美味しいわ。

「でも少尉は期待してるだろうねぇ」
「………」

そうかしら?

「特に何も言ってませんけど」
「そりゃそうだろ」

また笑われてしまいました。

「もぅ!さっさとお仕事して下さい!」

そう言うと執務室を出て自分の机へ。




手作り…か




少尉…ハボック少尉と付き合い出してから初めてのバレンタイン。
そりゃあ手作りを全く考えなかったわけじゃないわ。
でも…
どう考えても私には無理な作業のような気がして…
結局諦めた。

「…資料室でもいってこよ」

大きなため息をひとつつくと、気分を変えるためにも資料室へ向かったのでした。













「えーっと…これに、これでしょ。あ、そうだ」

必要な資料は多分奥の方の山積みになった中にあるはず。
そう思って奥に足を踏み入れると入口の扉が開く音がしました。

「なぁ、俺太ってない?」

そう言った声に聞き覚えはなかったけれど。

「そうか?そうでもないと思うけど」

答えた声には覚えがありました。

「最近俺チョコレートばっか食ってんだよ。姉貴が本命に渡すやつの試作品。もぉ当分チョコは見たくねー」
「へー。本命に手作りね。いいじゃねぇか」


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ