06/23の日記

23:10
わたしは笑っていられましたか?
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誰もいない放課後の図書室。

図書委員の当番なわたしは、一人図書室で返却された本を元にあった場所に戻していった

本来ならば、当番は二人。あと一人が来る筈なのにまだきていない

その理由を知っているわたしは、一人黙々と片付けていくのだ

静かな図書室には、外から聞こえる騒がしい生徒達の声が良く響き聞こえる

20分もすれば返却は全て終わり、生徒が来ない放課後は寂しく感じる

カウンターにある椅子に座り、本を開く

ぺらぺらと読み飽きた本を数回めくったら、図書室の扉は静かに開かれた


「―――…あー悪い、もう終わったんだろ?全部」

「――…いいよ、及川」

「あ?なんだよ」


入室してきた生徒は、もう一人の当番。くせのある焦げ茶の髪をピンでとめた男子生徒

カウンターの前の席にある椅子に座りながら、男子生徒は上目遣いできく


「途中で抜け出してきたんでしょ?――こっちは大丈夫だから、遊んできたら?」


彼が毎回遅れる理由、同級生と外でサッカーや野球をしているから


「――でもお前、」

「今日は暇みたいだし、それにあと一時間だよ。及川いきな」


ぱたんっと読みかけの本を閉じ、笑って男子生徒を促す


「――――そういうなら、行くな?」

「えぇ、」


椅子から腰をあげ、男子生徒はすたすたと扉に向かって歩きだす

扉を開け、そのまま出て行くのかと思ったら顔だけを少女に向け


「川崎!終わったら何か飲み物奢ってやるからな」

「じゃあ、コーヒーね」

「おう、無糖だったな」


ひらひらと手を振り、男子生徒は出ていった



少女は溜息を吐き出し、外を見下ろす





(笑い合うのは生徒達、わたしは見ているだけで良い)

 

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