雪月繚乱【R18】シリーズ《BL》

□雪月繚乱SS◆お正月
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「ほら安月、マフラー。ちゃんと巻いておけ」
「うぷ。せ、雪夜……」
「なんだ?」
「そんなにグルグルにしたら苦しいって」
「風邪でも引いたらどうする」
「いや、だからって……」
「それとも、俺がずっとお前を温めてやろうか?」
「……グルグルして」
 御堂 雪夜は逞しい体躯をした精悍な顔立ち、安月は亜麻色の髪をした美貌の持ち主で、二人は血の繋がらない兄弟であり恋人同士だった。
 数年前、紆余曲折を経て漸く結ばれた二人は、それから時が増すごとに、イチャイチャ度を高まらせつつ今に至っていた。
 
「雪降ってきたよ、雪夜。人沢山いるかな」
 刻は午前1時。新年が明けて、安月と雪夜は神社へ初詣でに来ていた。
 安月の云った通り、神前は人だかりで賽銭箱まではしばらく辿りつきそうにない。
「あ、何? 何か頭に……」
 触ってみると、5円玉が頭上に乗っかっていた。待ちきれない誰かが、後ろから賽銭を投げたらしい。
「罰当たりだな。貰っておけ」
「え? や、それって……」
 雪夜はフンと鼻を鳴らした。礼儀のない者にはとことん容赦がない。
 やっと賽銭箱までやって来れた安月は、さっきの5円玉と自分の賽銭をそっと箱に入れた。
 ニ礼ニ拍手一礼。
 両親が生きていた頃は、毎年こうして家族で参拝に来た。
 両親がいなくなって……しばらくは来ることがなかった。



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