*other*

□愛されるということ(シンジュ)
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だるい。非常にだるい。
やらなければならないことがありすぎて最近無理をしていたつけがまわってきたのだろうか、俺は久しぶりに風邪をひいてしまったらしい。

「ゴホッ、ゴホッ。あつい……」

咳も止まらないし、熱のせいで頭がうまく働かない。ここ2、3日この風邪のせいで何もできていない。ジャーファルたちには迷惑をかけてしまっていることに憤りを感じる。自分が情けなくて仕方がない。

「そういえば、最近ジュダルのやつ見ないな。」

ふと、付き合っているやつの存在を思い出す。
付き合ってるというか、言い寄られて流されてしまったというか、なんとも言えないがたぶん好きなのだろう。好きでもないやつとキスやそれ以上のことなんてできないよな。
しかし今の今までジュダルの存在を忘れていたのだから俺も薄情なものだ。
あいつは今何をしているのだろう。
そんなことを熱で朦朧とする頭で考える。と、その時部屋のドアではなく窓があき、風が吹き込んできた。

「おい!馬鹿殿!いるか?最近忙しくて会いに来れなかった!」

と、風と共に部屋に入ってきたのはついさっきまで俺の頭の中を占領していた奴だった。

「ジュダル……か、」

もし俺がいなかったらどうしていたんだ。と思いながらも俺は体を起こし、ジュダルの方を向いた。すると、俺の顔を見たジュダルが慌てて駆け寄ってきた。

「おっ、おい!お前、顔すげぇ赤いぞ!どうしたんだよ!!」

俺の額に手を当てて、うわっ!あっつ!どうすりゃいいんだよ!などと言いながら右往左往しているジュダルが可笑しくて、愛おしくて。

「おい、何笑ってんだよ。馬鹿殿のクセに。」

ジュダルはむすっとしながらも布を水で濡らして俺の額に当ててくれる。

「いや、何でもない。それとジュダルさん?」
「んだよ。」
「すごい水が滴り落ちてくるんだが。」
「うおっ!違うんだよ。わりぃ、馬鹿殿!」

そう言って濡れた俺を拭いてくれる。ジュダルが不器用なりに俺のことを心配して一生懸命何かをしてくれる事に悪い気はしない。むしろ嬉しく思う。
ふと、ジュダルの顔が俺の顔に近付く。気付けばジュダルの唇が俺の唇に重なっていた。

「おい!風邪うつるぞ、ジュダル。」

ジュダルに俺の風邪がうつったら大変だと思い、すぐにジュダルを離す。
するとジュダルはそんなの関係ないと言わんばかりに、再度俺の顔に自分の顔を近付ける。

「ばーか。俺はお前から貰えるもんなら風邪だって何だって嬉しいんだよ。」

そう顔を赤らめて言ってもう一度唇を重ねてくる。

「ジュダルの方が顔赤くなってるぞ。」

そう言うと、うるせぇよ、早く治せばか!とジュダルが俺に抱きついてきた。
そんないつもより冷たいと思うジュダルの体温を肌に感じ、あぁ、愛されるってのもいいものだな。と思った。
END


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