小説〜A sweetheart only a day〜

□第2章〜警報〜
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花の色が濃く彩る。


サンサンと太陽の光をうけて、雫をキレイに輝かせる花はどこか儚げだ。



「……これで花の水やりは終わりかな…」


すると遠くから足音が聞こえてきた。

ガサッガサッ

その足音はだんだん近づいてくる……



「水やりは終わった?」

それは
きれいな茶色の髪を翻しながら笑うシャノンだった。

シャノンは僕と昨日出会ったばかりだけど、よく話しかけてくる。

………というか、ついてくる…。


「うん。終わったよ」


するとシャノンがいきなり顔を近づけてきた。

「えっ?シャノンちゃん…?」

シャノンは僕の耳元で話し始めた。

「……実はちょっと行きたいところがあって………」

「……それで…?」



「道に迷っちゃった☆」


「………………」

「ラブお願いっっ!案内してくれない?」


そうゆうことか………………………………………って何を期待してたんだろう……?


「……ラブ?」

「…あっごめん……うんいいよ。案内してあげるね」





ここ“神の区域”と呼ばれる第7区には大きな教会がある。

それがこの“バルスブルグ教会”だ。

ここには大勢の司教とシスターがいる。僕もその司教の一人だ。

他にも、救いを求めてきた罪人やワケありの人々がわんさかいる。

その上、教会の中の教会だから、とてつもなく敷地が広い。


だから、初めて訪れた人にはここは迷宮みたいなものだ。





「それで何処に行きたいの、シャノンちゃん?」


「………………えっと………」


何故かシャノンは言いにくそうだった。




ぐぅきゅるるぅ〜

突如、シャノンのお腹の方から奇妙な音が聞こえた気がした…………

「〜〜〜〜〜っっ!!」
「……えっと…シャノンちゃん?」
「なっ何も言わないでっっっ!と、とにかく………食べ物がある所に行きたい……んだけど…」


「了解しました、腹ペコお姫様、くすくす……」「ちょっと!『腹ペコ』は余計!!ラブのいじわる!」

「…くすくす、ごめんごめん。……だって面白くて、くすくす」

「笑いすぎっ!もー早く行こ!!」

「そうだね、行こっか」
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