小説〜A sweetheart only a day〜

□第3章〜狂う歯車〜
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景色がオレンジ色に染まっていく……。


自分もこのまま、
景色と一体化して
消えてなくなってしまえばいい………。






シャノンちゃんは何も喋らなくなった。


もう話すことがないのか
もしくは
まだ話したいことがあるけど、話しにくいのか…………。

まぁ、いくら僕が
人の心に敏感だからってそこまで知ることは出来ない。






ゴーンゴーン……―――


僕の庭に沈黙を破る鐘の音が響く。



そろそろ
ご飯の時間かな………。


「…もうすぐご飯だよ、だから食堂に行こう?」


僕はシャノンちゃんに呼びかけた。


だけど
シャノンちゃんには聞こえていないのか、
ずっと座り込んで、うつむいたままだ………。




「……シャノンちゃん?……ほら、手」


僕は手を差しのべた。



すると
シャノンちゃんは
何かに反応したかのようにいきなり顔を上げた。

その表情は、
僕じゃない誰かを
見ていた気がする……。


そして
シャノンちゃんは
涙を浮かべながら僕に問いかけた。



「…なんでっ……?」


そのシャノンちゃんの声は、悲しみと怒りが入り混じっていて、
自分でも、どっちが本当の気持ちなのか、分からなくなっていた。


「……ラブはなんで、そんなに…そんなにっ………あの人と一緒なの………?」



……本当になんでっっ! ……なんでこんなにも似てるのっ……?


今の私の視界は
涙で霞んでよく見えない……。


だから余計にっ……
ラブが、顔も名前も覚えてないあの人に見えてしまう……………………………そう、あの日手を差し伸べてくれた、君に………。






僕は、黙って見ていることしか出来なかった。


シャノンちゃんの
こんなに切ない表情…………。

お昼のとき、
あんなに楽しそうに笑っていたシャノンちゃんからは、全く想像が出来ない……。



「……ラブはどうしてあの人と同じ香りがするの……?………………………どうしてあの日と同じように、絶望の淵にいる私に、手を差し伸べてくれるのっ……?………………こんなにも私にあの人を思い出させて、こんなにも私を苦しめてっっ……!………………」

そして
シャノンちゃんは、
すべてを諦めたような笑顔を浮かべた。
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